リハビリでできること|麻痺の改善だけでなく全身の活動性を高める取り組み2025.10.03(金)
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こんにちは!埼玉脳梗塞リハビリベースうちリハ 理学療法士 真中です。
脳卒中やパーキンソン病などの神経疾患を経験すると、多くの方に「手足の麻痺」という症状が残ります。
そのため、リハビリと聞くと「麻痺した部位を少しでも動かせるようにする練習」と考える方が少なくありません。
もちろん麻痺した手足の改善は重要ですが、リハビリの役割はそれだけにとどまりません。
リハビリの最終目標は、身体全体の活動性を高め、生活の質(QOL)を向上させることです。
そのためには麻痺部位だけでなく、麻痺していない側の手足や体幹を含めた「全身の機能」に目を向け、日常生活の動作をスムーズに行えるように整えていく必要があります。
今回は、リハビリで取り組める主な内容について詳しく解説していきます。
1. 麻痺部位の機能回復をめざす
よくリハビリの中心となるのは、やはり麻痺した手足の回復を促す訓練です。
関節が固まらないようにストレッチを行い、正しい刺激を筋肉や神経に与えることで、少しずつ「動かしやすさ」を取り戻していきます。
従来は「発症から6か月を過ぎると回復は難しい」と言われていました。
しかし近年の研究では、発症から数年が経っていても改善がみられるケースがあることが報告されています。
実際、僅かでも機能が改善することで、生活上での動き方が変わったり、できなかったことができるようになる方はいらっしゃいます。
諦めずに継続することで、今できない動作が将来的にできるようになる可能性は十分に残されています。
2. 麻痺していない手足の機能維持・強化
麻痺していない側の手足は「問題ないから放っておいても大丈夫」と思われがちですが、実際には過度な負担が集中しやすく、疲労や痛みを抱えることも少なくありません。
また、誤った使い方をしてしまっていることもあり、とても非効率な動きになっている場合もあります。
そもそも、生活動作を考える上で、「麻痺している側」「麻痺していない側」と完全に切り分けるのではなく、全身を上手に使う動き方を考えていくことが大切です。
そのためリハビリでは、麻痺のない側の筋力や柔軟性を高め、左右のバランスを整えることにも力を入れます。
これにより、麻痺側・非麻痺側の両方を効率よく使える動作が身につき、長期的に安定した生活につながります。
3. 体幹の安定性を養う
体幹は「立つ」「座る」「歩く」といったすべての動作の土台となる部分です。
体幹が弱いと、姿勢が崩れたり、バランスを保てず転倒リスクが高まったりします。
「全身を上手に使うことが大事」と先に記載しましたが、これには体幹の機能もかなり影響してきます。
リハビリでは、腹筋や背筋だけでなく、骨盤や股関節まわりを含めた広い意味での体幹を強化していきます。
手足を動かすリハビリを頑張っていても、体幹が弱い・適切な動かし方ができていないという方も多くいらっしゃるので、
様々な運動を通して体幹を適切に使えるようにトレーニングをしていきます。
人によっては、リハビリ時間の8〜9割を体幹トレーニングに充てる場合もあります。
体幹が安定すると、
- 歩行がスムーズになる
- 上半身の動きが安定する
- 手足の動きが効率的になる
といった効果が得られます。
結果として、日常生活での安全性や自立度が大きく向上します。
4. 活動レベルの向上をめざす
リハビリの最終的なゴールは、単に「体が動くようになる」ことではなく、生活の中でできることを増やすことです。
- トイレや入浴を自分でできるようになる
- 食事や着替えを介助なしで行えるようになる
- 家事や買い物などの役割を再び担えるようになる
- 外出や趣味を楽しめるようになる
こうした活動レベルの拡大は、心の健康にも大きくつながります。
自分の力で生活できることが増えると、自信がつき、社会参加や人との交流にも積極的になれます。
身体機能が改善すればし自然と活動レベルが拡大する方もいますが、課題の活動自体をきちんと練習した方が良い方もいます。
リハビリでは、そういったことも見極めて、活動レベルを拡大するために必要な練習やアドバイスを取り入れていきます。
まとめ|「麻痺改善」から「活動性向上」へ
リハビリは麻痺した手足を改善するだけのものではなく、身体全体の機能を整えて活動性を高める総合的な取り組みです。
- 麻痺部位の改善
- 非麻痺側の機能維持・強化
- 体幹の安定性向上
- 活動レベルの拡大
これらを組み合わせることで、生活の質を大きく高めることが可能になります。
当施設では、脳卒中や神経疾患の後遺症に特化したマンツーマンのリハビリを提供しています。
発症から時間が経っていても、「もっと動けるようになりたい」「今の生活を少しでも楽にしたい」と考えている方は、ぜひ一度ご相談ください。リハビリには“まだできること”がたくさんあります。 私たちはその可能性を一緒に広げ、より前向きな毎日をサポートします。