【専門職の頭の中】リハビリの方針をどう考えるか2025.09.18(木)
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埼玉脳梗塞リハビリベースうちリハ 作業療法士 岩井です!
【専門職の頭の中】というテーマで、普段私がリハビリを行う時に考えていることを記事にしたいと思います。
いくら運動のやり方や病気に関しての知識を身につけても、「リハビリを行う上での根本的な考え方」を知らないと間違った方向に進んでしまうこともあります。
とても大切な考え方なので、ぜひ最後まで読んでご自身のリハビリに活かしてくださいね!
リハビリの最終目標は何か?
リハビリに取り組むとき、「手や足をもっと動かせるようになりたい」と多くの方がおっしゃいます。
もちろん、こういった『身体の働きそのもの』へ着目することはとても大切ですし、自然なことだと思います。
しかし、リハビリの最終目標は『 生活の質(QOL)』の向上 にあることを忘れてはいけません。
リハビリを行った結果として、生活の質が向上したかどうかを考えることが重要です。
「機能」と「活動・参加」の2つの視点で考える
先ほどの「身体の働きそのもの」と「生活の質」と近い意味合いで、
リハビリでは、「機能」と「活動・参加」という言葉で整理されます。
- 機能:手や足がどれだけ動かせるか、バランスを取れるか、注意を集中できるかなど、身体や脳の働きそのもの。
- 活動・参加:トイレ、入浴、食事、趣味などの日常生活の活動や、家事や仕事など社会生活への参加。
例えば、右手足に運動麻痺が残っていても不便なく生活できているのであれば、活動・参加としては良好な状態と考えられます。
反対に、手足の動き(機能)に改善があっても実生活で全く活かされなければ、活動・参加レベルでは改善したと言えません。
重要な「活動・参加レベルでの改善」
右手を動かせなくても、左手だけで着替えや食事を行えるようになる方もいます。
右足に麻痺があっても、左足に体重をかけてバランスを取る方法を学び、杖や手すりも使用することで、また歩いて生活することも可能です。
このように、身体の機能に何かの問題があっても、他の機能を活かす術を身につけたり道具や環境を工夫することで、生活の改善は目指すことができます。
実際、病院などでこのような指導を受けたことがある方もいらっしゃるかと思いますが、
後遺症を抱えながらでも、今ある機能を最大限活かして生活の方法を工夫する。という視点を持つことが大切です。
「手足が元通りに動かないとダメだ」「手足が動くようになったら自分でやろう」とばかり考えてしまっていると、
いつまで経っても生活(活動・参加)が改善しないということにもなりかねません。
これは私たち療法士も気をつけなければならないことで、機能の改善にばかり目が向いてしまい、本来の目的を見失うということがないようにしなければなりません。
見逃されやすい?「機能改善の可能性」
ここまで活動・参加レベルでの改善が重要なことをお伝えしてきましたが、
実は私は、「機能改善の可能性を見逃さない」ということに1番の注意を払っています。
リハビリを進める中で、
- 機能改善を目指したリハビリを集中的に行うべきか
- 機能改善は難しいと割り切って、活動・参加の改善に直結するリハビリを行うべきか
このような選択肢に悩むことは多くあります。
特に病院や施設で関われる保険リハビリでは、リハビリを行える期間・時間的な制限が強く、判断が難しい場合も多いです。
活動・参加の改善を優先した結果、機能改善に関してはある程度割り切らなければならないケースも少なくありません。
病院や施設の判断が誤っていると言いたいのではなく、保険制度の側面から考えた時にある程度仕方がないことだと感じています。
保険外のリハビリも期間・時間の制約が全くないわけではありませんが、
保険でのリハビリに比べて、機能改善を図るために十分な期間・時間は確保しやすく、長年改善しなかった麻痺などの症状にも改善が見られる方がいらっしゃいます。
そのため、保険外リハビリを提供する療法士として、特に大切なのは、改善の可能性を安易に見限らず、未来の選択肢を狭めないことだと考えています。
リハビリに「絶対の正解」はない
リハビリは、人それぞれの症状や生活環境、価値観によって最適な方針が変わります。
「これが絶対に正しい」という唯一の答えは存在せず、時にはうまくいかないこともあります。
だからこそ、療法士に求められるのは「考え続けること」「可能性を探し続けること」です。
リハビリ専門職の役割は、利用者さんをより良くすることですが、その出発点は 改善の可能性を見出すこと にあります。
そして、保険外リハビリの役割として、保険のリハビリだけでは達成が難しいような機能改善、活動・参加の改善を図っていくことが大切だと思っています。
まとめ
リハビリの方針を考える際には、
- 機能(身体や頭の働き)
- 活動・参加(日常生活の活動や社会参加)
という2つの視点で整理して考えることが大切です。
機能が十分に回復しなくても、活動レベルを工夫することで生活は大きく改善し、QOLを高めることができます。
一方で、機能改善の可能性を見逃さない姿勢も重要です。
私たちの施設では、利用者さんの目標や生活状況を丁寧に伺いながら、機能レベル、活動・参加レベルの両面から最適なリハビリを提案しています。
今の機能を最大限に活かすことはもちろん、機能改善の可能性・チャンスを見つけ、挑戦して、より良い生活にしていくために一緒に歩んでいければと思います。
初回は無料でのリハビリ体験を実施していますので、少しでも気になる方はぜひ一度お越しください。