【障害年金の活用】 生活を支えながら“必要なリハビリ”を続けるために2025.11.14(金)
- リハビリサービス
脳梗塞後遺症やパーキンソン病などで長期的なリハビリが必要な方にとって、最も大きな悩みのひとつが 「費用」 です。
保険内リハビリには上限があり、満足できる回復を得るには「もっと練習したい」「もっと専門的に見てもらいたい」と感じる場面も少なくありません。
しかし、自費リハビリを利用したくても、生活費や治療費が重なり、金銭的に一歩踏み出せない方も多くいらっしゃいます。
そこで知っていただきたいのが、生活を支えてくれる制度 「障害年金」 です。
障害年金を活用することで、自費リハビリを継続しやすくなるケースが実際に増えています。
しかし、名前は知っていても、内容や申請条件がよく分からないという声も多いのが現状です。
この記事では、障害年金の 基本的な仕組み と 対象になる可能性があるケース をまとめました。
障害年金とは?
障害年金は、公的年金制度のひとつで、病気やケガによって生活や仕事に支障が出ている人に対して支給される現金給付です。
対象は、年齢や所得に関わらず、厚生年金・国民年金に加入しているすべての人です。
「重度障害だけが対象」というイメージが強いかもしれませんが、実際には、
- 歩行や立ち上がりが不安定
- 日常生活に時間がかかる
- 疲れやすく長時間の勤務が難しい
- 手先が使いにくい
- パーキンソン病で動作が遅い、転びやすい
といった 日常生活上の困難さ が重視されます。
障害年金の種類と金額(2025年度)
障害年金には、働いているかどうかによって、次の2種類があります。
● 障害基礎年金
国民年金の被保険者だった方が対象。
障害基礎年金1級 1,039,625 円(月額 86,635 円)+子供がいる場合の加算金
障害基礎年金2級 831,700円(月額 69,308 円)+子供がいる場合の加算金
※子の加算 第1・2子 各239,300円 第3子以降 各79,800円
※昭和31年4月1日以前に生まれた人は、1級は1,036,625円(月額 86,385円)+ 子の加算、2級は829,300円(月額 69,108円)+ 子の加算 となります。
● 障害厚生年金
厚生年金(会社員・公務員)の制度で、
働いていた時期に病気になった人 が対象。
会社員の人は、両方の年金に加入しているため、
障害厚生年金 + 障害基礎年金 を受給できるケースもあります。
障害厚生年金1級 (報酬比例の年金額)× 1.25 +(配偶者加給年金額)
障害厚生年金2級 (報酬比例の年金額)+(配偶者加給年金額)
障害厚生年金3級 (報酬比例の年金額)
障害手当金(一時金) (報酬比例の年金額)×2年分
※3級の最低保障額は 623,800円(昭和31年4月1日以前に生まれた人は 622,000 円)
※障害手当金の最低保障額は 1,247,600円 (昭和31年4月1日以前に生まれた人は 1,244,000 円)
受給のための3つの基本条件
① 初診日の証明
最初にその病気で医療機関を受診した日が「初診日」となり、この日の保険加入状況が審査の基準になります。
脳梗塞であれば発症日、パーキンソン病であれば最初に症状で受診した日が該当します。
② 保険料の納付状況
初診日の前々月までに
- 保険料を一定期間納めている
または - 免除申請が適切にされている
必要があります。
③ 障害認定日の状態
初診日から1年6か月後の「障害認定日」に、どれほど生活や仕事に制限があるかが評価されます。
(脳疾患やパーキンソン病では、日常生活の動作能力が特に重視されます。)
障害等級の目安
障害年金には 1〜3級 の等級があり、状態に応じて決まります。
- 1級:日常生活のほぼ全面で介助が必要
- 2級:日常生活に著しい制限がある
- 3級:労働に支障があり、生活にも一定の制限がある
等級は医師の診断書や日常生活の状況(食事、入浴、歩行、仕事の可否など)から総合判断されます。
障害年金の対象となりうるケース
障害年金は「重度でないと受けられない」「寝たきりでないと対象外」と思われがちですが、実際は “日常生活や仕事にどれだけ支障が出ているか” が判断材料になります。
ここでは、脳梗塞・パーキンソン病・脊髄疾患など、当施設の利用者さんに多い症状を具体的に挙げ、「こういう状態なら対象になりうる」という判断の参考となるケースをまとめます。
脳梗塞・脳出血後遺症のケース
脳梗塞・脳出血は後遺症の幅が広く、症状の程度によっては障害年金の対象になりやすい病気です。
<身体の動きに関するケース>
- 片麻痺の影響で着替え・調理・掃除などが著しく難しい
- ボタン留めや箸の操作など、細かい動作ができない
- 歩行時にふらつきがあり、外出に介助が必要
- 立ち上がり・段差昇降に時間がかかる
- 疲れやすく、長時間の活動が困難
<生活の自立性に関するケース>
- 入浴やトイレ動作に部分介助が必要
- 片手が使えず家事を継続できない
- 転倒リスクが高く、一人での外出ができない
<仕事に関するケース>
- 以前の仕事に復帰できない
- 通勤が難しくなった
- 作業スピードが著しく低下した
脳梗塞の場合、見た目が軽症でも 「疲れやすさ」「注意力低下」「段取りの難しさ」 があるだけで生活は大きく制限されます。
これらも審査対象になります。
パーキンソン病・パーキンソン症候群のケース
進行性の疾患であり、初期〜中期でも生活に支障が出ることが多いため、障害年金の対象になりやすい代表的な病気です。
<動作のスピード・運動機能>
- 動作緩慢により、食事・着替え・入浴に時間がかかる
- 歩行中にすくみ足が起こり、転倒の危険がある
- 揺れ・小刻み歩行で安定して歩けない
- 筋固縮(こり固まり)で姿勢保持が困難
<手先の動作>
- ペンを持つ、字を書く、箸を使うなどの日常動作が困難
- 小さな物をつまむ動作ができない
<疲労・仕事>
- 少しの活動で強い疲労感が出て、仕事が続けられない
- 長時間の勤務が困難で休職・退職を余儀なくされる
<生活全体>
- 外出機会が減り、引きこもりがちになる
- スムーズに動けず生活の質が低下
パーキンソン病は「波がある疾患」なので、
“調子の悪い日の状態” が重要になります。
脊髄疾患(脊髄損傷・脊柱管狭窄症・脊髄炎など)
神経のダメージによって、下肢や体幹に障害が残ることが多く、以下のような場合は対象になりやすい傾向があります。
<歩行能力>
- ふらつきや脱力で安定して歩けない
- 長時間歩くことが困難
- 杖や歩行器が必要
<排泄機能>
- 膀胱直腸障害(尿意が分かりにくい・漏れる)がある
- 排尿・排便コントロールが難しい
<手足のしびれ・痛み>
- 強いしびれ・痛みで日常生活が困難
- 睡眠・姿勢保持・作業に支障がある
<仕事面>
- 立ち仕事・重労働が続けられない
- デスクワークでも長時間姿勢保持ができない
脊髄疾患は 「見た目では分からない機能障害」 が多いため、生活の困難さを丁寧に伝えることが重要です。
整形疾患(変形性膝関節症・股関節症など
整形疾患でも、症状の程度によっては対象となることがあります。
<歩行機能>
- 膝や股関節の痛みで歩行が著しく制限
- 階段昇降が困難
- 休み休みでしか歩けない
<生活の制限>
- 家事・買い物が難しい
- 長時間の立位や歩行ができない
<仕事>
- 立ち仕事が困難
- 通勤時点ですでに痛みで限界
痛みは生活の障害として認められ、等級によっては受給可能なケースがあります。
高次脳機能障害のケース(脳梗塞・脳外傷後)
外見からは分かりづらい「認知・注意・記憶の障害」も審査の対象になります。
<記憶>
- 予定を忘れる
- 持ち物管理ができない
- 新しいことを覚えにくい
<注意・集中>
- 同時作業ができない
- 注意が散りやすく事故リスクが高い
<社会生活>
- 仕事や家事の継続が難しい
- 感情コントロールが不安定になる
高次脳機能障害は、専門医の診断書がカギとなります。
こんな状況の人は要チェック
まとめると、以下のような状態に1つでも当てはまる場合、障害年金の対象になる可能性があります。
発症以前の生活に戻れない
外出が不安で一人では難しい
家事が以前のようにできない
身体の動きが遅くなり、日常が滞りがち
通勤が難しい、または仕事を続けられない
トイレや入浴で部分的な介助が必要
強い疲労感や痛みで生活が制限される
手先の操作が不自由
必ずしも「寝たきり」レベルでなくても、対象になる可能性があります。
手続きが難しいと言われる理由
障害年金の申請は、書類の量が多く内容も複雑です。
特に負担となるのが以下の3つです。
- 初診日の証明が取れない
- 病歴・就労状況等申立書の書き方が難しい
- 医師の診断書内容が実際の生活とズレることがある
このため、障害年金の手続きを専門とする社会保険労務士(社労士)に相談する人が増えています。
障害年金を受け取るとどんな変化がある?
● 生活費の不安が軽減
仕事が難しくなった時期を支えてくれる重要な収入源となります。
● リハビリを「継続」しやすくなる
自費リハビリを検討する上で、
「月々の負担をどうするか」という問題が大きな壁ですが、
障害年金の補助があることで、必要なリハビリに投資しやすくなる方が多くいます。
● 外出・活動量が増える
生活が安定すると、リハビリの意欲も高まり、結果として身体機能の向上に繋がるケースも少なくありません。
まとめ
障害年金は、生活を支えるだけでなく、「本当に必要なリハビリを続けるための土台」になります。
保険リハビリだけでは足りないと感じている方、自費リハビリを始めたいけれど費用が心配な方は障害年金という制度を一度検討してみてください。
ご不明な点があれば、当施設へお気軽にご相談ください。
自費リハビリの初回無料体験も実施しています。
お気軽にお問い合わせください。